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激走5日間!冬の豪州を舞台にした 東海大学ソーラーカーチーム 挑戦の軌跡

2025/12/18

ゴール直後の集合写真。達成感と安堵が全メンバーの笑顔を輝かせた。

オーストラリア大陸を舞台に、太陽光の力で約3,000kmを走破する世界最高峰のソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラーチャレンジ(BWSC)」。2025年大会は8月 24日~28日の5日間にわたって開催されました。大和リビングが支援する東海大学ソーラーカーチームも参戦。2023年大会と同じ、5位入賞を果たしました。

世界最高峰の闘いの舞台は、真冬のオーストラリア。
異例の環境とトラブルを乗り越えて得たもの。

従来は夏季に行われていたBWSCですが、30年を超える大会の歴史の中で初めて、今大会は真冬の開催となりました。そして、時期の変更に合わせて車体サイズやソーラーパネル設置面積の規定も大幅に改定されました。夏に比べると日射量が大幅に減り気温も下がる冬のオーストラリアは、どのメンバーも経験したことがない異例の環境です。実際にレースを終えてみて、エネルギーマネジメントの重要性が想像以上に高かったと振り返ります。


レース1日目にはリアタイヤがパンクし、タイヤ周辺の空力改善パーツが破損するアクシデントに見舞われます。空力改善パーツは特に今回こだわって設計製作した重要部品ですが、その部品が破損してしまうという手痛いトラブルでした。過去の経験を生かし、メンバーそれぞれが迅速に対応することでレースに復帰するまでの停車時間を15分程度に抑えましたが、この遅れがレースの最後まで影響してしまいました。

それぞれが自身にできることを必死で探し、パンクトラブルに立ち向かった。

レース期間中にはライバルチームとの国籍を越えた交流や助け合いも経験できました。オーストラリア到着日にホテルの予約ミスがあり、メンバーが途方に暮れていると、イタリアのチームが宿泊場所を提供してくれたという感動的なエピソードがありました。他にも、海外チームと食事を共にしながら技術についての情報交換をしたり、それぞれの車体について説明し合ったりしたことも。レース中はもちろんライバル同士ですが、互いのチャレンジャースピリッツを尊重し合い、切磋琢磨できる大会の素晴らしさも実感しました。

海外チームとの交流シーン。学ぶべきことが多々あった。

現地と日本、遠く離れたメンバー間の連携と信頼が度重なる困難を乗り越える力に。

チームの結束力が試されたのはレース終盤の4日目、緊迫した場面でした。東海大学の周りに3チームが近接し、非常に緊迫したレース展開に。想定外の道路工事や起伏の激しいコースに遭遇し、バッテリー残量が残りわずかという危機的状況で、アメリカのミシガン大学とオーバーテイクし合う(追い越し、追い越される)状態となりました。この時、指令車に乗車していたエネルギーマネジメント担当の松崎智紀さんは、「互いのバッテリー残量を探り合いながら走りました。一番緊張感があった瞬間だった」と振り返ります。


なんとかミシガン大学を振り切ったものの、バッテリー残量との闘いは続きました。翌日の走 行に備えて充電を行う予定だったキャンプポイントは1km先。たどり着けるかどうか判断が分かれるところでした。 そんな時に頼りになったのは日本から届く気象データでした。天候の影響を大きく受けるソーラーカーレースのため、気象衛星情報処理担当のメンバーが東海大学湘南キャンパスに詰め、衛星データから雲や風向きの情報を読み取って現地に伝達していたので
す。刻々と変化する気象予測を参照しながら発電状況や走行速度を計算し、先行する偵察班が航空写真で別のキャンプポイントを探し出して、バッテリー残量がゼロに近い状態でこの日のレースを終えました。現地メンバーと国内メンバーが一体となったチームの総力が、難局を打開する力になりました。

4日目のレース後、キャンプポイントで発電を行う様子。

翌日のレース5日目、ゴールであるアデレードには5位でフィニッシュ。いくつもの困難を乗り越えて完走できた喜びがメンバー全員の顔を輝かせていました。

ライバルに学び、自分たちの長所を伸ばして。
2年後の2027年大会に向け、闘いはもう始まっている。

ゴールの翌日、全参加チームの車体がビクトリアスクエアに展示され、地元住民や各チームの関係者、スポンサー、報道陣など多くの人が訪れました。メンバーはさまざまな質問を受け、笑顔で応じました。東海大学「2025年型 Tokai Challenger」の魅力と、それを運営するチームの素晴らしさをアピールすることができたと語ります。


今回の経験を糧に、チームは現在、2027年大会に向けて何をすべきかを考え、技術と組織の両面で具体的な道筋を模索しています。技術面では、上位チームが採用していたコアレスモーターの導入やパワートレイン動力技術の開発、空力性能を高めるユニークなデバイスなどを検討し、さらにエネルギー効率や空力性能を高める必要があります。肌で感じた現地の状況やライバルから得たヒントを検証し、次の関門に挑もうとしています。「自分たちの良いところは伸ばし、弱点をなくしていくことが大事。どこが弱いのか特定したい」と、監督を務める木村英樹学長。車体やソーラーパネルを提供してくださったメーカー企業様とも協議を行い、確実に世界一を目指せる技術を追究します。

組織面では、限られた時間・場所での緊迫した作業で、メンバーそれぞれが自ら考えて行動する力が育ちました。「個々のメンバーが自分にしかできない仕事に取り組み、確立したスキルを身につけ、自ら行動するようになったことが今回の大きな成長」と、今回限りで活動を卒業する安齊空さんは振り返ります。先輩は後輩に夢を託し、後輩は今回の経験や知見を生かして次回への準備を進めるとともに、次の世代を引っ張っていく覚悟を決めています。大学を休学してレースに専念する海外チームもある中、東海大学ソーラーカーチームは学業との二足の草鞋を履きながら、技術力だけでなく組織力もトップレベルに磨き上げることで頂点を目指していきます。


5位入賞は、2011年以来の優勝を目指したチームにとって悔しさが残る結果でした。しかし、参加したメンバー一人ひとりに確実な成長をもたらし、次の大会で羽ばたくためのヒントを掴む機会となりました。 高い壁に挑戦し、乗り越えた先には大きな喜びがあるはずです。2027年大会に向けて、東海大学ソーラーカーチームの新たな挑戦は始まっています。今後とも温かいご声援をよろしくお願いいたします。

ゴール後のセレモニーにて、TEAM JAPANのメンバーとともに。写真左の車体が東海大学「2025年型 TokaiChallenger